クルマ(内燃機関を搭載した自動車)とりわけ基本形とされるセダンのスタイリングを、ホイールベース/前後オーバーハング(=タイヤ位置)とアッパーボディの関係(Aピラーのフロントタイヤへの”刺さり具合、Cピラーのリアタイヤへの”載り具合”)によって得られる美しさで考える。その全体のバランスが醸し出す安定感こそが、人間の八頭身美人にもつながるグッドスタイリングの原点proportionなのだ。
『MAZDAにFR転換の野心あり』グローバルなブランド構築を推し進めるエグゼクティブの口から強い意志を耳にしたのは2013年の初秋だった。速いクルマより楽しいクルマ。NDロードスターが体現したダウンサイジング/ダウンパフォーマンスでも人に寄り添うクルマであれば愉しい。
資源環境ファクターから機能性能の∞(無限大)化に制約が生まれ、右肩あがりの高性能化のベクトルが正義とはならなくなった。限られた条件の中でクルマの魅力を追求すると、デザインと走り(動きそのもの)の面白さ=ハンドリングに行き着く。象徴的かつ究極的な姿がドリフトであり、そのコントロールに人とクルマと環境のバランスを踏まえた商品としての魅力が潜んでいる。
FR絶対主義。今から30年前に直観した”なぜドリフトは面白いか?”の素朴な疑問に端を発する考察の結果は揺るぎないが、理解しようとするプロフェッショナルは未だ少ない。MAZDAが漸く声を上げてくれた。上から目線は生意気に聞こえるかもしれないが、率直な感想だ。
86の構想段階でも同じことを述べ、開発責任者はビタ一文の対価を払うことなく量産化を実現し名声を得た。迷いを吹っ切る一言の価値を忘れるような驕り高ぶりに明るい未来は訪れるか。じっくりお手並み拝見と行きたいものである。
VWが仕出かした途方もない愚挙によって、クルマの未来に不穏な空気が漂うようになった。MAZDAがとばっちりを受けて凹むことを心から憂慮するが、小さいけれどキラリと光るブランドを目指す行き方は日本になかなか育たないプレミアムブランドにもっとも近い。プランが実行されることを願って止まない。
まだまだクルマは面白いし、面白くしないといけない。
とても興味深い記事を見つけたので、感想に代えて一文を認めてみました。
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