AAフランクフルトショープレスデイの翌日(18日)の報道というタイミングに配慮を感じる。14日のVWグループナイトでは、BMWからヘッドハンティングされたヘルベルト・ディースが新たにVWブランドCEOとして初のプレゼンテーションを行った。
このクルーガー会長との権力闘争に破れ、弾き出される形でVWにポジションを得たのがディースCEOとのことらしいが、クルーガー新会長同様にこれからという時に難しい局面に立ち至ったことになる。
マルティン・ヴィンターコルンVW社長の進退も取り沙汰される事態に、大揺れは必至。BMWも指導体制に不透明感が漂い、ディーター・ツェッツェCEO率いるダイムラーAGのメルセデスベンツ/スマートにも一時の勢いが感じられなくなった。
報道が前日/前々日のIAAプレスデイの真っ最中だったら大騒ぎになったことは間違いない。
VW・BMW・MBのジャーマンスリーは、ECE R101規定というローカルルールともいうべきPHEV優遇の法制(25km+EV走行距離)÷25km=削減係数 を敷き、ダウンサイジングターボなどによって予めCO2排出量を下げた上でその係数で割った数値を公式な排出量とするEUの政策に乗って、政府業界挙げてのプラグインハイブリッド推進に乗り出した。
背景にハイブリッドやFCV(燃料電池車)技術で先行するトヨタやホンダの日本勢の存在があり、利益率の高い大型高級車が中心のドイツメーカーのサバイバルも併せて費用対効果の大きいPHEVやEVへの傾倒が国益に適うという判断があったとみていい。
レギュレーションを主導して優位を確保するのはF1などにも見られる傾向だが、裏を返せばそれだけ真剣な死活問題だという認識を持っていることに他ならない。
現実問題として世界最大の市場に成長した中国でのドイツメーカーのプレゼンスは20%を上回る中国メーカーに次ぐシェアを押さえ、メリケル首相も足繁く中国詣でを繰り返している。日本の自動車メディア/ジャーナリストは国内販売シェアで10%にも満たないドイツ車をほとんど盲目的に礼賛し、世界市場でトップシェアを握る日本メーカーを下に置く自虐的な立場を貫いている。
伝統的に巧みなドイツ一流のプロパガンダに染まって、批評の精神を元に批判的に物事を見る態度を忘れ、アウトバーンを初めとする世界的にはむしろガラパゴスといえる環境の成果物としての特異な高性能車を理想と崇める傾向にある。もちろん日本メーカーも批評の対象であり、内外に格差を設けてはならないが、明治以来の舶来崇拝にいつまでも留まる愚は双方のためにならないだろう。
肝腎な時に日頃の懇意に遠慮して発言が鈍るようではメディア/ジャーナリズムとしての存在を疑われる。報道のタイミングから推察して、VWの内部リークの可能性も否定できないだろうが、いろんな意味で考えるべき時が訪れたのは間違いないと思う。
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