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2014年12月2日火曜日

多分、初公開? NDロードスター北米仕様2ℓエンジンの横顔

  LA autoshowプレスデイ前日(11月18日火曜日)の夕刻、マツダはハリウッドの Raleigh Studiosでレセプション(懇親会)を開催。そこで翌日のワールドプレミアに先駆けてCX-3とNDロードスター北米モデルを招待された内外のプレス(2~300人規模)に公開した。

  小飼雅道社長以下主だった役員、開発責任者が列席するかなり大掛かりなイベントで、日本人プレスを含むグローバルなプレス対応ということでは知るかぎりマツダ初の試み。少なくともアメリカにおいてはそうで、SKYACITV TECHNOLOGYと魂動(SOUL OF MOTION)デザインによるブランド戦略の成果が明確に表れたことを強く印象づけた。

  CX-3は、SKYACTIVと魂動デザインによる新世代マツダの第5弾。NDロードスターの前に登場するマツダ2=デミオ派生のSUV仕立て。見た目としてはスカイアクティブ初号機となったCX--5の弟分といった感じだが、開発陣の思いはSUVというよりもSUV風味のコンパクトクーペ。ホイールベースを始めプラットフォームはデミオと共通だが、より自由度を高めたデザインにより約100kgの重量増を見ている。

  デザイン的には、Cピラーをブラックアウトすることでフローティングルーフ調の堅苦しさを排除しながら後端を下げる軽快なクーペルックを志向。魂動デザインの共通言語となっている大型グリルと動きのあるキャラクターラインでブランドとしての統一感を演出するが、いわゆるクロスオーバーSUVのラインは狙っていないという。

  リアシートの居住性やリーティリティスペースにはさほどこだわらない、まだ子供が小さい30代のファミリー層をメインターゲットと想定した、日産JUKEやホンダヴェゼル辺りと競合するゾーン。当初からマツダ2(デミオ)のデリバティブは企画されていたというが、具体化したのはCX-5の成功が見えた2012年中頃。そこから約18ヶ月でデザインフィックスから開発完了を迎えたという。

  デザインは完全に広島本社のデザイン部門のオリジナルで、グローバルな展開が優先されるCX-5からマツダ6、3、2とは根本から異なると松田陽一チーフデザイナーは胸を張る。

  第一印象はAピラーからCピラーまでの限られた寸法内にゴチャッとキャラクター要素が詰まりすぎる感じがして煩雑なやり過ぎ感が先に立った。その辺を率直に前田育男デザイン本部長に告げると、なかなか上手にプレゼンテーションを仕切り、リハーサルを含めてフラフラだと嘆く彼に「今の(消耗した) 俺にそれを言う?」真顔でしかられてしまった。

  このCX-3、100kgの重量増に対応して、マツダ2(デミオ)とは異なるエンジンラインナップを用意。日本向けは1.5ℓのSKYACTIV-Dが専用設定で、FF/4WD、6速MT/ATの組み合わせ。海外向けには、2ℓのSKYACTIV-Gと1.5ℓディーゼルが市場特性に応じて使い分けられたり併売されたりする。

   見慣れて来ると、最初の違和感も薄れ、濃いめの最新マツダキャラはこのくらい主張していてもいいか‥‥都ポジティブに受け止められるようになった。

   NDロードスターは、最多需要地のアメリカで初のモーターショーデビューを飾った。すでに4月のニューヨークNYIASでのベアシャシー展示から、オーナーズミーティングなどのファンイベント、9月4日の世界3拠点同時のワールドプレミア、そしてパリ、LAという国際モーターショー出展と、独自の展開を続けてきたが、今回は正式に北米仕様NDのエンジンは2ℓのスカイアクティブ-Gとなることがアナウンスされた。

  この情報については、すでにパリの段階で確認済みで、「1.5ℓだけとはひと言も言っていない」と山本修弘主査の口から聞いて「えっ?」となったが、「パリでは、欧州向けには1.5ℓと2ℓがあると言ったが(2ℓは非公式に認めただけだったはずだが)、日本仕様がどうなるかは何も言っていない」と頑なだった。

  「ロードスターのファンクラブの人々と正式発表に至るプロセスで交流を重
ねて来たけれど、お客さんからはひと言も排気量について聞かれたことはない」21年前に『反対声明』と銘打った1.6ℓから1.8ℓへのスケールアップに異を唱えた僕なので、拘りを持っていると思われても仕方がないが、そこを興味本位に問題化していると思われるのは心外だ。

  原点回帰やスペックに頼らないライトウエイトスポーツの魅力の再発掘をテーマにしたという4代目ロードスターだからこそ、キャパシティは重要なコンセプトのど真ん中に来るポイントになる。

  2ℓが存在すると聞いて、僕はそれはまあ当然のことだろうな、と思った。21年前の僕は今ほどには視野が広くはなく、国内目線だけの理想主義的発想から"反対声明"を書いていた。マツダMX-5ロードスターは言うまでもなく日本国内よりも海外に数多いファンが存在するグローバル商品だ。

  NA~NB~NCの流れが海外、それも最大マーケットの米国を中心に定められ、ビジネスとしての継続を考えて変遷を遂げたという事実は、当時のマツダの経営状況や技術レベルを考えると必然だった。理想だけではスポーツカーは作れない。どれだけ上手に妥協するかが腕の見せ所。平井敏彦初代主査は独自の哲学でロードスターを世に送り出した。

  受け継いだ貴島孝雄前主査の「とにかく継続させることがすべて」という姿勢も今となっては強く同意できる。僕は批評してより良きを求める立場として言いたいことを言わせてもらったが、NDの登場で無駄ではなかったと振り返ることができている。

  今度のロードスターは、一度挫折した後に「どうあるべきか?」を考え抜いた結果として行き着いた。2008年9月15日のリーマンショック。この日を境に、世界は恐慌状態に陥り、すべての自動車メーカーは深刻な事態に直面した。マツダは4期連続の赤字という危機に瀕し、サバイバルのために考案されたSKYACTIVのオリジナルプランに基づく身の丈にあった戦略に舵を切り、その中からロードスターもコンセプトから「御破算で願いまして‥‥」となった。

  そのプロセスに関わる重要な経緯を今回LAで掴んできた。北米の開発拠点MNAOのキーマンへのインタビューによって、ここまでの風変わりなNDロードスターの登場の仕方の理由が解けた。グローバルプロダクトの妙味というか難しさを改めて知った。NDロードスターは、まだ正式発表まで数ヶ月を残している。精度の高い情報がもたらされるのは年明け以降になるはずだが、今回のLAautoshowでは北米仕様のボンネット内を撮影することに成功している。横からのアングルはあまりないと思うので、このD/J動遊倶楽部blogをご覧の皆さんだけにご覧いただこうと思います。



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